脊髄損傷のリハビリ|脳梗塞リハビリLab栃木・茨城

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 小山理学療法士による脳卒中の専門リハビリ施設

脳梗塞リハビリLab栃木・茨城

受付時間    9:00〜18:00 (月〜金)     
070-2617-2229 (☎︎ 0285-38-8228)  
 
  • 1.脊髄損傷とは
  • 2.脊髄損傷の治療方法とは
  • 3.脊髄損傷のリハビリとは
  • 4.当施設における脊髄損傷のリハビリについて
  • 5.引用・参考文献
 

1.脊髄損傷とは

 

脊髄損傷とは、脊椎(背骨)の中を通る脊髄(神経)を損傷することです。日本では年間4000〜5000人が新たに脊髄損傷を受傷しています。原因としてはまず、交通事故や労働災害(高所からの転落など)、スポーツ外傷(スノーボード・ラグビーなど)で強い衝撃が加わるような外傷での受傷です。そうした原因での受傷は、20代前半〜50代後半に多く、脊椎の脱臼骨折や破裂骨折に伴って脊髄を損傷してしまいまうケースが多いです。もう一つの原因としては、高齢者や骨粗鬆症などを患っている方が転倒することによる受傷です。また、加齢などで脊椎に変形が生じていたり脊柱管が狭くなっていたりすると骨折を伴わなくても脊髄を損傷してしまう「非骨傷性脊髄損傷」も最近は増加傾向にあります。
 
脊髄損傷により起こる主な症状としては、運動麻痺や感覚障害のほかに、呼吸器障害や消化器障害、排尿障害などの様々な神経症状が見られます。これら脊髄損傷における症状は、基本的に損傷部の下の脊髄が支配する全領域で症状が現れることとなります。そのため損傷した脊髄の位置(頚髄−胸髄−腰髄)などから、呈する症状や病後の予後なども推測することが可能です。
損傷部位と、それにおける症状や残存機能、予後についての例として
頚髄(首)の上位では、呼吸筋(横隔膜)の麻痺により呼吸器障害を呈し、人工呼吸器が必要となります。頚髄の下位では、座ることは可能ですが上体は不安定なためリクライニング式の車椅子等を使用します。肩や肘などの腕の一部の動きが残存します。
胸髄の上位では、握力や指の動きは残存しますが、腹筋が弱く脚全体の麻痺もあるため立つことは難しく車椅子を自分で漕いで移動します。また上位胸髄は心臓を支配する神経があるため、これより上位の脊髄損傷では血圧の低下や徐脈といった循環器障害も非常に重要となってきます。胸髄の下位では、腹筋が効いているので骨盤が安定し、立ったり介助での歩行などは可能となってきますが、日常生活は車椅子が必要です。また、これより上位の脊髄損傷では、胃や腸を支配する神経の影響で胃潰瘍や便秘などといった消化器障害を呈したり、排尿のコントロールが難しくなる排尿障害を呈したりします。
腰髄の上位では、膝上まで固定できる装具を使用したり、両手に杖をついたりして歩行が可能なレベルです。腰髄の下位では、足首固定の装具や一本杖などでの歩行が可能なレベルといえます。
 
 

 
2.脊髄損傷の治療方法とは

 
脊髄は脳と同じく中枢神経であり、中枢神経は損傷を受けた部位が元に再生することは難しいと言われています。
脊髄損傷は、受傷直後より専門的な集中治療が開始されます。血圧や呼吸、体温など全身状態を厳密に管理しながら、できるだけ早期離床を目指します。強い衝撃による受傷では出血や骨折なども合併しているため、損傷した骨や靭帯などに対して手術療法や装具などでの修復・固定を行います。そして、リハビリテーションもできるだけ早期から開始が望ましいとされています。血圧や呼吸などの全身状態を管理しながら、機能改善や治療の促進、合併症・褥瘡の予防などのためにもリハビリは重要とされています。
 

 

3.脊髄損傷のリハビリとは

 
脊髄損傷には、「完全麻痺」と「不完全麻痺」があります。脊髄の損傷の程度が強く、運動や感覚など神経全体が機能不全を起こしている状態が完全麻痺となります。損傷部位以下の全感覚の低下と運動麻痺が出現し、感覚や麻痺の改善は難しくなります。一方、不完全麻痺の場合は損傷が部分的であるため、症状も感覚は低下しているが運動は残存していたり、感覚・運動ともに部分的な低下があったり、また麻痺に左右差があったりと症状は様々です。部分的でも神経の繋がりが残っていれば、感覚や麻痺の改善は見込めるといえます。
 

急性期
血圧や呼吸などの全身状態の管理を十分にした上で、早期からのリハビリを開始します。全身の筋肉の緊張が低下している場合が多く、深部静脈血栓症や肺塞栓、褥瘡などの二次的な合併症を予防するためにも頻繁な体位変換や関節可動域訓練などを行います。また、頸髄や上位胸髄の損傷では肺の機能が低下するために人工呼吸器を使うこともあり、呼吸の訓練なども実施します。今後どのような障害が残るかを急性期から予測し、それに向けた対応を早期から行うことが重要です。
 
回復期
全身状態が安定し、より積極的なリハビリテーション治療に移ります。残存機能の維持・向上を図りながら、基本的な動作(起き上がりなど)や日常生活の動作(食事・トイレなど)のリハビリが実施されます。
脊髄損傷では、損傷部位や損傷の程度などの違いから、比較的早期に将来の後遺症が分かる場合が多いため、より具体的な対応を障害ごとに考え実践していく必要があります。例えば、両脚の麻痺(対麻痺)の場合、麻痺のない腕の力で自分の身体(お尻)を持ち上げるための筋力が必要になってきますし、また、下半身の着替えなどのためには体の柔軟性がかなり必要となってきます。
 
維持期
脊髄損傷の患者は若年者も多く、脳卒中とは違い理解力や判断力、記憶力などの脳の障害はありません。つまり、脊髄損傷患者にとって退院後の自立した生活や社会復帰はより重要なものとなります。
しかし、入院期間は短縮化され続けており、退院後に医療保険で受けられる外来リハビリも期間に上限があります。介護保険の認定を得られてリハビリのサービスを受けられている方の場合でも、週に受けられる回数や時間は決められており、集団での体操や機械での自主リハビリが多かったりと、一人ひとりに合ったリハビリを受けられない場合もあります。
社会生活への適応や趣味活動などのためにも、残存機能のさらなる向上や新たな動作の習得、後遺症の改善や回復のためにと、よりその人に合った質の高いリハビリが求められるのではないかと考えられます。
 
 

 

4.当施設における脊髄損傷のリハビリについて

 
当施設は主に維持期の方へ向けて、自費による退院後の専門リハビリサービスを提供しています。ご利用者様の目標や希望に合わせたオーダーメイドのリハビリプログラムで、国家資格を有するスタッフがマンツーマンで90分〜120分と充実したリハビリサービスを提供しています。
 
個別性を大事にしながら行う当施設での主なリハビリは、①残存機能(障害を受けていない機能)を最大に活かせるように、姿勢の修正や柔軟性・筋力の向上、②後遺症(麻痺・感覚障害)に対する可能な限りの回復と改善、③施設内外での実践練習などを取り入れています。
 
当施設では特に、②後遺症に対するリハビリに力を入れています。脊髄は脳と同様に一度損傷を受けた神経は再生されないとされていますが、脳卒中の回復過程と同じように神経のネットワークによって損傷された神経の機能を代行することで麻痺などの改善は見込めます。入院期間中や退院後においても脊髄損傷のリハビリの基本方針は「残存機能を向上」による動作や生活の再獲得です。もちろん損傷部位やその程度によって症状や改善の見込みにも違いはありますが、「不完全麻痺」の場合には特に、退院後の保険診療のリハビリでは後遺症の改善のためのリハビリ時間や回数が足りていないのが現状です。そのため、当施設では麻痺などの後遺症に対しての評価や筋肉・神経の反応の確認をしたうえで、どこまで改善が見込めるのか、そしてその限りまでは後遺症の改善を図れるようにとリハビリを提供していきます。残念ながら「完全麻痺」の場合には、後遺症の機能改善や回復はかなり厳しいものになってしまいます。しかし、関節や筋肉の柔軟性を確保することは重要であり、①残存機能を最大活用し補助具なども使用し、③動作練習・実践練習を繰り返すことで、目標や希望を諦めずに達成することも可能です。
 
また、ここでは②後遺症に対するリハビリとして当施設で提供しているリハビリ手法の1つであるバイニーアプローチ(BiNI Approach)について紹介していきます。

バイニーアプローチは、身体のバイオメカニズムと脳・脊髄などの神経科学の両面から、身体のあらゆる部位や組織(筋肉・筋膜・脊柱・関節など)の状態を調節していくリハビリ手法です。調節し改善された身体構造や組織からは良好な感覚情報が脳や脊髄に入力されて処理されることで、今度は良好な運動として身体に表現されるようになり、本体の筋肉の動きや運動パフォーマンスが引き出せれるようになります。
脊髄損傷であっても、病前と同じ様な良好な感覚が身体から脳や脊髄に入力されることで、本来の動きを思い出すように神経回路の再構築がされます。その神経回路が強化され、良好な感覚と運動との循環が自己組織化されると自己治癒力が最大限に引き出されるようになり、後遺症の改善へと導いてくれます。
 
 

 

5.引用・参考文献

 
1)厚生労働省 平成29年「患者調査」
2)厚生労働省 令和元年「急性期脊髄損傷の治療を目的とした医薬品等の臨床評価に関するガイドライン」
3)MedicMedia 「病気が見えるvol.11  運動器・整形外科」
 
 
 
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